「優秀な人材だと思って採用したけど、それほど活躍してくれない」
時間と労力をかけて採用した人材が「期待外れだった」なんてことはありませんか?それは、候補者の喋りの上手さによって優秀に見えてしまったことが考えられます。
「面接で伝える表現力」と「仕事で発揮する実力」は別もので、話の上手さは仕事における優秀さの一側面に過ぎません。
選考プロセスで失敗しないためには、優秀な人材の見極め方を知る必要があります。今回の記事では、その具体的な方法について解説します。
優秀な人材の定義とは?
まず始めに「優秀な人材」の定義ですが、これは会社によって異なります。なのでここでは、あくまでも一般的な「主体性・協調性・論理性」の基本三要素が高い人材を「優秀な人材」と定義します。
- 主体性→リーダーシップや自主性、能動性、積極性など
- 協調性→チームワークやコミュニケーション力、察する力など
- 論理性→思考力やコミュニケーション力、地頭、賢さなど
面接で主体性を見抜く質問は?
主体性を見抜くためには、成功体験よりも「苦労話」を聞きましょう。
成功体験や実績などの「上手くいった話」だけを聞いても、その成果を出すために本人がどのくらい努力したのか、コミットしたのかはあまり伝わってきません。
ただし、苦労話を聞くことで、「そんな逆境があっても頑張ったのか」「そんな細かいところまで配慮しながら進めていたのか」といった状況が本当によく見えてきます。
いくら体験談が良くても苦労話はさっぱり…という人材は、主体性が低い可能性があるので気をつけましょう。
苦労話について質問し、面接でストレス耐性を見抜く
苦労話があるということは、「その状況を乗り越えるだけのストレス耐性があった」ということになります。
しかし、求職者の多くは苦労話をネガティブに捉えているため、面接の場ではあまり話したがらない傾向があります。
だからこそ、面接を受けにきた人が「話してみよう」と思えるような雰囲気づくりを心がけてみてください。
面接で協調性を見抜くためには?
一般的に協調性とは、立場の異なる人たちが協力しあい、ひとつの目標に向かって行動できる能力のことです。
協調性のある人は、周囲の意見とうまく折り合いをつけ、円滑なコミュニケーションを取りながら協力して遂行できる力を持っています。
そういった協調性を面接で見抜くためには、「その人材が協調性を発揮した具体的なエピソードを尋ねる」という方法があります。
ここで重要なのが、「そのエピソードを、周囲の人間にスポットを当てて掘り下げる」ということです。たとえば新卒の学生がアルバイトでのエピソードを話したなら、「そのアルバイト先の店長はどんな人でしたか?」など聞いてみると良いでしょう。
協調性が高ければ、その情報量や質に他者との違いが格段に表れます。
論理性は「ケース面接」で見抜く
たとえば面接で、過去の実績をすらすらと論理的一貫性を持って話す人材がいたとします。一見すると論理性が高そうに見えますが、実はそこまで高くないという場合があります。
その理由は、本人が考えて実行したことではなく、「優秀な上司の的確な指示のもとで言われた通りにやっただけ」という可能性があるからです。
そこで、論理性を見抜くための方法としてケース面接をおすすめします。ケース面接とは、ある特定の課題に関して面接官と議論を展開し、相手の論理性や思考力の実力を見抜くためのものです。
「あなたが〇〇だったらどうしますか?」など架空のケースを投げかけて、自分なりの解を導き出せるかどうか。さらに、導き出した解のクオリティが高いかどうかで、本人の論理性(思考力)の高さを見極めることができます。
実際に出題されたケース面接の例題
「学園祭であなたが担当したクレープ屋さんは、売上目標を達成することができませんでした。では、来年どうしますか?」
これは、実際に某化粧品会社で出題されたケース面接の課題です。ここでは「クレープの味を変える」など商品のせいにする志向性ではなく、戦略としてどう展開していくかを考える必要があります。
実際にケース面接を行ってみると、職務経歴書では見抜けない論理性や思考力の乏しさが途端に浮き彫りになることもあります。前述した「優秀な上司の指示通りに仕事を上手くこなしてきた人材」などがこれに当てはまりやすいです。
普段から本人が考えて仕事をしてきたわけではないので、自分で考えざるを得ないケース面接の方式になると、対応がわからずボロを出してしまうのです。
面接だけでなく、実技試験や適性検査も検討する
能力を見極めたいのであれば、経歴書の資格や実績などの情報だけでなく、できる限り選考プロセスの段階でスキルを確認するようにしましょう。たとえば、プログラマの採用をするのであれば、その場でプログラムを書いてみてもらう、という方法は効果的です。
また、スキルが高くてもストレス耐性が低いとすぐに成果を出せなくなります。これに関しては、適性検査を導入することで一定水準を判断しやすくなります。
選考を進めていると、「あと一歩のところで辞退されてしまった」という場面もあると思います。こちらの記事では、新卒採用と中途採用に分けて「優秀な人材の口説き方」について解説していますので、合わせてご覧ください。
欲しい人材の口説き方!新卒採用・中途採用でそれぞれ解説優秀な人材がスポイルしている可能性を考慮する
これまでに解説した優秀な人材をしっかりと定義して採用したにも関わらず、それでも期待外れと感じてしまう。もしかするとそれは、優秀な人材をスポイルしてしまっている可能性があります。
スポイルとは、本来は優秀な人材だったのに、やる気やモチベーションを下げてしまい、その能力が発揮されていない状態にしてしまうことを指します。
人材をスポイルさせる原因には、「採用基準」と「評価基準」の整合性がとれていないことが挙げられます。
採用基準と評価基準に一貫性をもたせる
たとえば、採用基準と(入社後の)評価基準が以下の通りだとします。
評価基準:上司の指示に従順かどうか
これはあくまでも、わかりやすくお伝えするための一例ですが、このような矛盾点に気付いていない企業は数多く存在します。
なぜこのような矛盾が生じてしまうのか?その理由として、役員が管理職に対して、人事制度の作成意図を丁寧に説明していないことが考えられます。管理職が評価制度について理解や共感を得ていなければ、独自の判断で部下を評価してしまいます。これでは社員も混乱します。
そうならないために、社員の評価基準がそのまま採用基準となるよう、役員と現場の管理職が双方で、両基準に一貫性を持たせるように調整していくことが大切です
現場の意見を吸い上げる
採用基準と評価基準に一貫性を持たせるためには、まずは現場の意見を聞くことです。人事だけの意見で採用基準をつくってしまうと、どうしても現場の評価基準との間に“ズレ”が生じてしまいます。
「どういう人材を採用してはいけないのか?」
このあたりを丁寧に吸い上げられると、採用基準と評価基準のズレがなくなり、優秀な人材が活躍してくれる環境となります。