マイナビの調査によると、2021年10月時点でインターンシップ・ワンデー仕事体験に参加したことのある学生は83.6%いることがわかっています。
参考 学生のインターンシップ、参加率は83.6%マイナビニュース「8割以上の学生が参加している」ということは、インターンシップを実施するだけで興味をもった学生が集まり、母集団の形成につながるということです。
しかし、「やったことがないから…」「人手が足りなくて…」といま一歩実施に踏み切れない企業もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、今すぐインターンシップを実施すべき3つの理由をお伝えします。
記事の後半ではインターンシップの成功事例についても解説していますので、現在検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
インターンシップを実施すべき3つの理由
インターンシップを実施すべき理由は大きく分けてこの3つです。
- 学生の8割以上が参加しているため、実施するだけで学生との接点が増える。
- 学生は「就業体験」ではなく「就職先探し」として参加している。
- 7割以上の学生が入社予定先のインターンシップに参加している。
インターンシップに参加する学生は年々増加している
6月から3月までの9ヶ月間でインターンシップに参加する学生の数は、2014年卒では32%(せいぜい1,2社)でしたが、2021年卒では85%(平均5社)まで増えています。
これは、インターンシップを実施するだけで単純に「学生との接点が増える」ということです。さらに平均参加者数も年々増えています。
学生にとって、インターンに参加することは当たり前という時代になっています。
「開催したいけど人手が足りない」とお困りでしたら、1dayの2~3時間をオンラインで開催してもいいのです。それなら説明会と工数も変わらずできるかと思いますので、学生との接点を増やすためにもまずはインターンを実施しましょう。
インターンシップに参加する学生の目的は、「就業体験」ではなく「就職先探し」
こちらはインターンシップに参加した理由を表す図です。上位には、「特定の企業を良く知るため」「特定の企業が自分に合うかを確かめるため」という目的が来ています。
つまり学生は、「就業体験」ではなく「就職先探し」としてインターンに参加していることがわかります。
大学3年の6月から3月までの9ヶ月間を、このような志向をもって活動しているのです。「自分がどんな仕事をしたいのか」「自分に向いている会社はどこか」をインターンを通じて見つけているため、3月になってから学生にアプローチしていては遅すぎます。
学生はインターンシップに参加した会社に就職している
極めつけはこちら、「内々定先、入社予定先のインターンに参加した学生の割合」を表したものです。
全体で70%以上の学生が、入社予定先のインターンシップに参加しています。理系はとくに顕著で、「多くの学生はインターンで就職先を決めている」と言えます。
実際に私が支援させていただいているクライアント様も、採用目標数の4割~7割はインターンシップに参加した学生を採用しています。
インターンシップ以外の就活準備も早期化している
就職活動の準備は、就活対策講座やOBOG訪問などインターン以外にも様々ありますが、それらの準備に取りかかる時期もまた年々早くなってきています。
上記の図を合わせて見ると、約半数の学生が9月以前に準備を始め、その多くが就活に対して不安や焦りを感じていることがわかります。こういった学生の動きは後輩に伝わっていきます。たとえコロナが収まったとしても、就活準備の早期化は止まらないでしょう。
インターンシップの開催には、「学生との接点が増える」以外にも、「学生の不安を取り除く」という大きな効果があります。参加できるだけでも学生にとっては嬉しいもので、アプローチ次第では志望度を上げることに繋がります。
インターンシップの成功事例を目的別に解説
これまでご紹介してきた理由から、インターンシップを実施する企業は年々増えています。なかには、最近初めてインターンシップを開催したという企業もいらっしゃると思います。
最近始めた、これから始めるという方々にまずお伝えしたいこと。それは、インターンシップを始める前には「目的」を必ず決めておかなければならないということです。 「なぜやるのか」という目的が明確でないと、プログラムを作ることも、集客をすることも、成果を出すことも難しいからです。
そこでここからは、実際に私が担当させていただいたお客様の事例をもとに、インターンシップの成功事例を目的別に解説していきます。
「開催したけど思うように人が集まらない」「そもそもプログラムの組み立て方がわからない」という方は、ぜひご活用ください。
インターンシップにおける“成功”とは?
インターンシップにおける“成功”は、目的によって異なります。
「広報目的型インターン」
「とにかく母集団(応募数)を増やし、3月1日の本選考開始前までの広報活動をしていきたい!」という企業がここに当てはまります。ここでの成功は、全体の母集団形成をする(応募数を増やす)ことです。
「採用直結型インターン」
「参加した学生を採用に結びつけたい」という目的で実施され、長期のインターンで少人数の厳選採用をする際に効果的です。ここでの成功は、ミスマッチを防いだ厳選採用をすることです。
あれもこれも欲張ると失敗する可能性が高いので、目的を絞ったインターンシップの運営をお勧めします。採用予定数が5名以上なら広報目的型、5名未満なら採用直結型という感覚をお持ちいただければと思います。
インターンシップ成功事例①「インフルエンサーを探せ」
こちらの会社では、「インフルエンサーを探せ」というプログラムを実施しました。フォロワーの多いインフルエンサーを見つけたグループが優勝するというもので、SNSを活用したプログラムが学生に好評です。
フォロワーの多いインフルエンサーと接点をもつ必要があるので、学生はTwitterやInstagramなどのSNSアカウントを探し、「どう検索したらフォロワーの多いインフルエンサーと出会えるか」をグループで戦略を練ります。
実際の業務としても、クライアントの売りたい商品をインフルエンサーマーケティングを活用して販売しているので、就業時に使えるスキルを見抜くためのプログラムにもなっています。
採用予算を変えずに応募が昨対比463%
こちらのお客様は、これまでインターンシップを開催したことがなく、母集団の形成に悩んでいました。そこで前述したようなインターンシップを実施すべき理由を伝え、理解していただけたことで実施に至りました。
実施した結果、採用予算を変えずに応募が昨対比463%になりました。3月1日から使っていた採用予算400万円を分散させ、広報期間を延ばしただけで母集団形成に大きな差が出ます。また、採用予算を変えていないので、当然「応募単価が安くなる」という大きなメリットを受けることができます。
応募単価は1人あたり920円、77%削減することができました。さらに、全母集団の中にいわゆる上位校と呼ばれる学生は41%存在し、上位校の応募単価も2,000円で獲得できています。
採用予算を変えずに応募数を増やし、応募単価も抑えることができた「インターンシップの成功事例」と言えるでしょう。
インターンシップ成功事例②「脱出ゲームを通じて広告業界を学ぶ」
こちらの会社では脱出ゲームを実施しております。グループで謎を解いていくとヒントが出てきて、そのヒントを頼りにオフィスから脱出をするというものです。
この脱出ゲームをクリアしていくと、就業時に使う広告用語やマーケティング用語が理解できるように設計しています。そして最後の謎を解くと、この会社が採用において最も大切にしている「企業理念」が理解できるようになっています。
先程のインフルエンサーのプログラムもそうですが、学生が参加したいと思うインターンは、志望度を上げることにも繋がります。また、このようなプログラムは「誰でもファシリテーターができる」というメリットがあります。
このプログラムでも、前年の内定者2名が運営に携わっています。前年の内定者を運営に参加させることで「内定辞退を防ぐ」という第2のメリットを生み出しています。
内定を出した時点でこのように伝えて、内定者プロジェクトチックにします。社員とのコミュニケーションも必然的に増え、内定者同士の絆が深まります。
このように、他の企業に気が向かないような取り組みは内定辞退防止に効果的です。私のクライアント様には、ほとんどこのやり方を推奨しており、実際に内定事態率は減少しています。
このような課題もクリアでき、インターンシップを開催するだけで「母集団形成」「内定辞退防止」「インターン開催における人員不足解消」という一石三鳥の役割を果たしている成功事例と言えます。
ちなみにこちらの会社は、6~7月に行われるイベントに出展すると、1日中立ち見が出るほど満席状態が続きます。プログラムの改善を重ねて強化していることも要因の1つではありますが、早期のライバルが少ない時期に広報活動を実施することで、より多くの学生の目に止まり認知度が高まりやすいのです。
インターンシップ成功事例③「長期×少人数でミスマッチのない厳選採用」
最後に、恐縮ですが弊社の取り組みを成功事例としてご紹介させていただきます。
弊社の取り組みは、長期のインターンを実施している企業に多くあるスタイルです。しかし、「早期に学生の囲い込みをするぞ!」という意味ではありません。最近では「ジョブ型」という表現が浸透してきましたが、長い時間をかけて業務や会社を理解してもらい、ミスマッチを防ぐことを目的としています。
参考 インターンから「ジョブ型」採用 大学院生対象大学3年時に応募してくれた学生と週2~3日一緒に働き、時にはお客様先へ同行します。時給も発生しているため、アルバイトに近いイメージです。
インターン生には予め、「3ヶ月一緒に働いてみて、うちの会社と合いそうだなと思ったら受験してみてね」と伝えておきます。本当に自分に適している会社かどうか、数ヶ月かけて判断してもらいたいのです。インターン生は主体的に会社のことを知ろうとしてくれるので、お互いにミスマッチを防ごうとした結果、入社につながることが大きなメリットです。
株式会社NOMALのメンバー
弊社では毎年1名~2名のインターン生と一緒に働いており、これまで2名の採用に繋がりました。実際にインターンを経験して入社してくれた学生は、能力の違いはあれど、社風・働き方・業務内容に対して違和感は少ないように思います。数カ月もの間社員とコミュニケーションを取り続けているので、入社後もすんなりとメンバーに加わることができますし、業務内容も理解できています。
ただ、教育側の負担があり、学生に任せられる業務を切り分けることが難しいため、会社規模によっては受け入れ人数に限界があります。しかし、「入社したらどんな働き方をするんだろう…?」と学生が不安に思うことは起こりません。
採用予定数が1~2名という企業には効果的な手法なので、ぜひ参考にしてみてください。
さいごに
インターンシップを実施すべき理由と目的別の成功事例について解説いたしました。
・8割以上の学生が参加しているため、実施するだけで学生との接点が増える。
・学生は「就業体験」ではなく「就職先探し」として参加している。
・7割以上の学生が入社予定先のインターンシップに参加している。
メリット:費用対効果が高く、応募が集まりやすいので、優秀な人物と出会える可能性が高い。
デメリット:学生が集まるプログラムを作る必要がある。
メリット:長い時間を社員と過ごすので、業務や社風が理解されやすい。
デメリット:日常業務の切り分けが難しい。
最後に、忘れてはならない重要な視点を1つだけお伝えしておきます。
たしかに、インターンシップの実施は母集団形成につながり、採用活動は成功しやすくなります。ただし、企業側の体制が整っていなければ意味がありません。プログラムの作成・運営はもちろん、志望度を上げるフォローなどの採用スキルは必須となります。そして、そういった採用スキルをもつ企業は年々増え続けています。
つまり、インターンシップをやっていない期間が長ければ長いほど、すでに実施している企業との採用力の差はどんどん開いていくということです。
もちろん、どの企業も最初からうまくいっていたわけではありません。実施して、失敗して、反省しての繰り返しの上に成り立っています。その苦労があったからこそ、学生が魅力を感じるインターンシップが出来上がり、採用活動が楽になるという事実があります。
しつこいくらいに言いますが、インターンシップを実施するかしないかで検討している企業は、まずやってみてください。今回の記事が皆様の背中を後押しするきっかけになれば幸いです。
弊社ではオンラインにて無料相談も受け付けております。私が直接30分でも1時間でもお悩みにお答えいたしますので、壁打ちに使っていただくだけでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。