2022年8月現在、コロナの感染状況は世界的に見てもかなり収まってきたと言えます。ただし、今後「普通にみんなでオフィスに集まって仕事をする」というコロナ以前のような状態にすんなり戻るかどうかは分かりません。
強制的に戻す会社もあれば、段階的に戻す会社もあるでしょうし、このまま戻らない会社もおそらくあるでしょう。
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弊社では、創業時の2015年から完全フルリモートワークを導入しておりました。しかし最近は、週2回の出社義務を設けております。不思議なことに、フルリモートから週2出勤に変更後、会社の売上が2倍なりました。
要因は定かではないですが、比較するとこのような状態かと思います。
・個人の能力と主体性に頼っていた
<週2出社体制>
・コミュニケーションの量が明らかに増えた
・それにより、個人に合わせた教育ができるようになった
つまり、定期的にオフィスでコミュニケーションを取ることで売上が伸びたことになります。
今回の記事では、リモートワークで失われたもの、オフィスにおけるコミュニケーションの重要性について解説していきます。
リモートワークで失われたものとは?
リモートワークが当たり前になった現在では、移動時間というコストがなくなり、効率的に仕事ができるようになりました。
ただし、リモートワークによって失われたものがあります。それが「目的的ではないコミュニケーション」、つまりは”雑談”です。
たしかにzoomなどのオンラインツールでも会話はできますが、複数人が同時に発声している状況を完全には再現できていません。これまで当たり前にしてきた雑談をする機会が失われています。
オフィスにおける2つのコミュニケーション
「同じ釜の飯を食う」という日本語がありますが、上司と部下、先輩と後輩、他部署の同期同士、そういう人間で一緒にランチをすることも、いわば「オフィス」の重要な要素の一つであったのだ、ということを痛感している人が多いだろうと思います。
雰囲気の送受信
あいさつなどの言語的コミュニケーションであっても、言葉のトーンから「あれ?元気ないかな?」などと察することができます。
「なんか今あっちの部署がピリピリしている」
「3階の部署がどんよりしている」
このような雰囲気がわかる、ということもコミュニケーションです。雰囲気を発信し、雰囲気を受信しているわけです。送受信が成り立っているのであれば、それはひとつのコミュニケーションと言ってよいでしょう。
移動時間・休憩時間で共有できるコミュニケーション
「リモートワークによって移動時間がなくなり、効率的に仕事ができるようになった」と前述しましたが、それは同時に、その時間に発生していたコミュニケーションの機会が失われているということになります。
オフィスに行くと、共有する時間が多々あります。
・休憩室での時間
・電車での移動時間
・会議室からエレベーターへの移動時間
こういった時間で、ちょっとした悩みを相談できたり、新サービスのアイデアが閃いたり、他部署の状況を詳しく知れたり出来たりもします。
コミュニケーションを軸としたオフィスの設計
上に書いたような「休憩室での時間」や「電車での移動時間」といったものが、1社員に対して1日平均30分あったとします。そうなると、20営業日で10時間、1年間では120時間です。
この120時間を、「いかにバージョンアップしてオフィスでの時間にしていくか」が大切です。会議などの目的的なコミュニケーションはオンラインでも可能です。なので、合間の時間にするようなやりとり、つまり雑談こそ、オフィスで行うべきです。
雑談なので、業務に短期的、直接的に関係するコミュニケーションは必要ありません。
- 個々人の好みや価値観が分かるような会話
- 現実的な制約を外した妄想、空想のような会話
- 普段コミュニケーションが少ない他部署の人との会話
- 担当業務ではないけれど、会社全体や会社の未来についての会話
このような会話が大切であり「オフィスに行くと、そういう会話を豊かに行うことができる」となっていることが、オフィスの設計上で重要になろうと思います。
例えば、1回5時間のコミュニケーションの時間を、月2回持つことにします。これによって「失われた120時間の雑談」を補填することができます。
「業務ではなく個人的な相互理解を深める部屋」
「現実的制約を気にせず理想を描く部屋」
「具体的対処ではなく哲学を深める部屋」
オフィスの部屋として、こういったものがあってもよいのでしょう。
もちろん、このような名前をそのまま会議室につけるのはあまりにも直截的すぎますが、そのような意図をもって、オフィスのレイアウトを設計したり、カラー(物理的な壁紙の色など)を設計したりすることも意味があることと思います。
さいごに
コロナ前に比べて、オフィスは「贅沢品」となりました。その贅沢な場所で過ごす時間を、雑に使ってしまってはもったいないということです。
たしかにオンラインやリモートワークは便利ですが、雑談においては(今のところ)オンラインは非常に苦手としてします。それでもリモートワーク中心でいくのであれば、いかに雑談の機会を意図的に設計し、設けるかということが非常に重要になります。
そして、感染症のリスクがまだあるときに「わざわざ出社する」「わざわざ対面する」ということは、とても大事にしたいところです。