「せっかく内定を出したのに辞退されてしまった」
「こんなことなら、もう一人の方に内定を出しておけばよかった…」
採用活動に内定辞退はつきもので、一度はこのような悔しい思いをした経験があるかと思います。
内定辞退を防ぐためには、候補者たちの志望度を確認しながら採用活動を進める必要があります。
今回の記事では、内定辞退が起こる原因に触れながら、志望度を高める・確認する方法、内定辞退防止に効果的な採用活動について解説致します。
まず、内定辞退が起こるのは“当たり前”という認識をもつ
まず前提として、内定辞退は当たり前に起こる現象です。
学生の立場からすると、企業の選考を複数受けること、企業から内定を複数得ることは普通のことです。ある学生が3社から内定を得た場合、残りの2社は内定を辞退します。
実際、例年4月時点で学生の内定率は35%程度で、その半数以上の学生は内定獲得後も就活を続けています。第二志望の内定を得た後に第一志望の最終面接に行くことはありますし、その第二志望の最終面接で「当社が第一志望でよろしいですね?」と聞いたところで誰も正直に答えません。
このような状況で市場が動いている以上、「就職活動の基本構造として内定辞退が起こるのは当たり前」という認識はしておくべきでしょう。
内定辞退が発生する2つの原因
内定を辞退されるということは、その人材にとって自社以上に魅力的な入社先があったということです。
その原因として以下の2つが考えられます。
- 志望度の高い人材を見抜くことができなかった
- 選考フローの中で志望度を高めることができなかった
前述した通り「内定辞退は当たり前に起こる」というある程度の割り切りは必要ですが、下記のポイントを意識することで内定辞退率を下げることはできます。
- 志望度を高める採用活動をする
- 志望度を確認しながら採用活動をする
内定辞退防止策①志望度を高める採用活動をする
そもそも採用活動は、「優秀な人材を見抜く(選ぶ)」「優秀な人材を口説く(選ばれる)」という両面から成り立っているものです。
前者のみで採用活動をできる企業など、ほんの一部の超人気企業のみです。多くの中小企業は、この両面から採用活動をしなければ成功はしません。
志望度を高めるためには、学生との接点を増やすことに尽きます。学生との接点は以下の3つです。
- 採用ホームページ
- 人事と学生のやりとり(電話やメール)
- 面接官との時間
採用ホームページは学生にとって重要な情報源ではありますが、ここではより直接的な接点の質が求められる「人事と学生のやりとり」「面接官との面接時間」に注力して解説していきます。
志望度が上がる人事の対応
面接の定番である「学生時代に頑張ったこと」を例にあげるなら、学生に対して「それはすごいね!」「頑張ったね!」と素直に言ってみてください。
この「学生時代に頑張ったこと」は、定番であるゆえに形式的なやりとりになりがちです。頑張ったことに対して「その理由は?」という面接が続く中で、褒められる・興味を持たれると候補者の印象に残るものです。
また、「〇〇がとても良かった。ぜひ次回の選考にお越しいただきたいと思っています」という具体的な一言を添えるだけでも印象はグッと良くなり、学生の志望度は上がるので参考にしてみてください。
志望度が下がる人事の対応
例えばあなたが、人事とやりとりをしている学生だったとします。そのやりとりの中で、「返事が遅い」「内容が雑」などということがあれば、その人事だけでなく会社に対して不信感を抱くはずです。
そういった細かい積み重ねが学生の志望度を下げることになるので気をつけましょう。
志望度を上げる面接時間の使い方
例えば1時間ある面接を始めてすぐに、「この学生はとても優秀だから採用したい!」ということがあったとします。
その場合、残りの時間は学生の志望度を高めるために使いましょう。就職活動の状況について親身に相談に乗ってアドバイスをするといった時間の使い方もひとつです。
そのやりとりによって、「この会社は私のことを大切に思ってくれている」という認識が強くなります。人は、自分のことを大切にしてくれる存在を強く意識するようになります。
また、自社の良さや目指しているビジョン、抱えている課題や対策などを語る時間があってもいいでしょう。
学生A
学生B
学生の志望度がこのように高まっていくわけです。
ですから、採用活動においては「優秀な人材を見抜く(選ぶ)」ことも大事ですが、それ以上に「優秀な人材に第一志望になってもらう(選ばれる)」ことが重要です。
内定辞退防止策②志望度を確認しながら採用活動をする
内定辞退を防ぐためには、候補者たちの志望度を確認しながら採用活動を進める必要があります。
志望度を確認するには「日程調整」と「返信速度」をチェックする
わかりやすく志望度を確認するには、「面接の日程」で確認してみましょう。志望度が高ければ、基本的にこちらが提示した面接日程で調整してくれます。
もし「他の日程でお願いします」となれば、(よほどの理由がない限り)自社が第一志望ではないということになります。
また、「返信の速度」も確認してみてください。他社との日程調整を優先していて、「それが確定してからこちらに返信しよう」という場合は遅くなります。
返信速度は志望度を確認するための大切な情報になりますので、しっかりと候補者ごとにデータで管理しておくことをおすすめします。
面接で志望度を見極める質問は?
面接で志望度を見極めるためには、このような質問をすることが効果的であり必須です。
- どのような基準で企業選びをしているのか?
- 他にどのような企業を受けているのか?
他に受けている企業が全く別の業界であれば、そこを深堀りして聞いてみましょう。業界が全く別であっても、別の軸であなたの会社に惹かれている可能性もありますし、志望度の程度が見えてきます。
ただしその場合、面接結果の欄には「どちらに転ぶか分からない」ということも記録しておきましょう。
また、面接で「うちの会社が第一志望ですか?」とストレートに聞いたとしても、「第一志望です」と返されてしまうのがオチなのでおすすめはできません。
「志望度の層」を意識して戦略を立てる
面接の候補者たちは以下のA~C群で分類されます。
まずはA群「志望度も能力も高い人材」は文句なしですが、その多くは辞退していきます。
B群「志望度は高いが能力は低い人材」に入社してもらう場合には、入社後の教育によって能力を伸ばすようにアプローチをする必要があります。
採用活動においては、C群「志望度は低いが能力は高い人材」の志望度を高めるようなアプローチをしていくことも重要です。
また「志望度も能力も高いA群」だと思っていた人材が、実は「志望度は低いが能力は高いC群」だったというケースを減らさなければなりません。
例:最終面接で10人中3人採用したい場合
A群が3人いれば何の問題もありませんが、Aが1人、Bが5人、Cが4人となった場合、誰にどういうタイミングで内定を出すか(最終面接を行うか)をよく考える必要があります。
早めにC群4人の最終面接を行って、「もし本当に入社する気があるなら内定を出したい」と口説くのもひとつの手です。正解はありませんので、どのような戦略で行くか、自社の価値観や状況に合わせて決めていきましょう。
志望度を高めるためにはインターンシップが効果的
こちらのデータを見れば、インターンシップが志望度を高めるために欠かせない採用活動だということがおわかりいただけると思います。
ご覧の通り、3月4月時点ではインターンシップに参加した企業が第一志望という就活生が70%以上いることがわかります。
インターンシップに出たから志望度が上がったのか、志望度が高いからインターンシップに出たのかはわかりません。(個人的には前者だと思っております)
しかし、事実として学生の第一志望のほとんどは「インターンシップに参加した企業」です。
「内定辞退に悩んでいる企業はインターンシップにチャレンジしましょう」と断言できるほど重要な選考フローとなっています。
今すぐインターンシップを実施すべき3つの理由とは?成功事例付きで解説内定辞退防止に効果的な内定者フォローの方法
内定辞退を防止するためには、内定者フォローが効果的です。ここでは実際に私がお客様にやっていただいている方法をご紹介致します。
内定者に「卒業までのプラン」を立案させる
まず会社として、いくつか選択肢を提示します。例えば「アルバイトとして働くことができる」「自己学習のために予算を提供できる」などです。
そのうえで、内定者に「卒業までのプラン」を自ら立案させます。4月入社時点でのゴールや、卒業までの時間をどのように過ごすかを計画してもらうのです。
そして月に1回程度「ゴールと計画」に対する振り返り会を行います。
これにより、「PDCAを回す」というビジネスパーソンに必要なスキルや習慣を身に着けさせていくことができます。
また、このプロセスに人事が関わることで、人材の強み・弱み・個性など、入社後の配属に必要な情報を手に入れることができるでしょう。
このフォローの方法は、物理的な内定辞退防止策にもなりますし、なにより教育効果が大きいです。また、内定者フォローでネックになる「コストがかかる」という問題も、月1の振り返り会をオンラインにすれば解消できます。
内定者フォローに使える!インターンシップを使った事例を紹介
他にも、「内定者企画のインターンシップを実施させる」という方法があります。
インターンシップの実施にあたっては、「人手が足りない」「良い企画が思い浮かばない」などのハードルもあると思いますが、ここでご紹介する方法はそういった問題をクリアすることができます。
その方法とは、「内定者が出揃う夏あたりに、次のインターンシップの企画をしてもらう」というものです。
担当者
内定者にインターンシップを企画してもらうことで得られるメリットは多くあります。
- 企画を考える過程で、自社の魅力について考える機会が増える。
- 情報収集として先輩社員と自主的にコミュニケーションをとるようになる。
- 強い帰属意識が生まれ、内定者同士の結束が深まる。
- 企画立ち上げによる忙しさで、他社への就職活動をする時間が物理的になくなる
この方法を実践しているお客様のなかには、自主的に「◯名集めます!」と目標を設定し、ゼミやサークルの後輩に声をかけて集客をすることで母集団形成につながったという事例もあります。
内定者フォローに潜在する問題点やリスク
内定者フォローの一環として「働かせ始める」という施策をご紹介しましたが、いくつかデメリットもあります。
コストがかかることはもちろんですが、「内定者に働かせる会社だ」という噂が広まって学生離れが起こる可能性もあります。最後の休みを謳歌したい学生も一定数いるので、2月~3月は出勤させないなどの配慮を忘れずに行いましょう。
そうすることで、内定辞退のリスクを回避しつつ、教育を施して即戦力化を図ることができます。
また、「一緒に働いて社内の実態がわかることで内定辞退が起こる」ということもありますが、これは許容すべきリスクと考えてよいでしょう。
そのような人材は遅かれ早かれ離職してしまうので、もしもそのような“不一致”があったとしたら、4月の正式入社前にお互いに不一致を認識できて良かった、と捉えて良いかと思います。
さいごに
内定辞退が起こる原因に触れながら、志望度を高める・確認する方法、内定辞退防止に効果的な採用活動について解説してまいりました。
- まず「内定辞退は当たり前に起こる」という認識をもつ。
- 「志望度を見抜けない・高められない」と内定辞退が発生する。
- 候補者に興味を持ち、褒める・親身になることが志望度アップにつながる。
- 志望度の高さは、候補者の返信速度で確認できる。
- 志望度を高めるためには、インターンシップが効果的
- インターンシップは内定者フォローにもなる
繰り返しとなりますが、内定辞退を100%防ぐことはできません。
しかし、志望度を高める・確認することを意識しながら採用活動を行うことで、内定辞退率を下げることはできます。
私が支援したなかには、内定辞退率が例年50%以上だった企業が、対策をしてから20%程度に低下したケースもあります。
また、記事の後半でご紹介した内定者フォローの方法が、必ずしも良いというわけではありません。
「人事がリモートで宿題を出し、添削をする方法が良い」
「うちの会社では、週1回アルバイトに来てもらうのがいい」
「うちの会社では、11月の1か月間しっかり働く経験をしてもらう」
大切なのは、コスト面や業務量、即戦力化のニーズなどを鑑みて、「どんな方法が自社にとって最適な内定者フォローか」を見つけることです。
今回の記事を読んで、内定者フォローの方法や内定辞退についてもっと詳しく聞きたいと思われた方は、無料のオンライン相談も受け付けておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。